年金に上乗せして受け取れる「年金生活者支援給付金」が、2026年度は3.2%増額されました。「名前は聞いたことがあるけれど、自分が対象なのか分からない」「手続きが難しそうで、そのままにしている」という方も多いのではないでしょうか。この給付金は、年金を受け取っている方のうち、収入や所得が一定の基準以下である方の暮らしを支えるために、年金に上乗せして支給されるお金です。むずかしい制度に感じるかもしれませんが、ポイントは大きく分けて3つだけです。「どの種類があるのか」「いくらなのか」「自分が対象かどうか」です。この記事では、専門用語をできるだけやさしい言葉に置きかえながら、2026年度の新しい基準額と、受給に必要な手続きを順番に整理します。特に大切なのは、この給付金は「請求しなければ受け取れない」という点です。対象に当てはまるのに請求していない方は、ぜひ最後まで確認してみてください。 ## 年金生活者支援給付金とは 年金生活者支援給付金とは、年金収入や所得が一定額以下の方を対象に、年金に上乗せして支給される給付金です。ここでいう「上乗せ」とは、もともと受け取っている年金とは別に、追加でお金が支給される、という意味です。年金そのものの金額が変わるわけではなく、年金を補う形で支給される制度だと考えると分かりやすいでしょう。給付金には、次の3種類があります。- 老齢年金生活者支援給付金:老齢年金(年を重ねてから受け取る年金)を受け取っている方のための給付金です – 障害年金生活者支援給付金:障害年金を受け取っている方のための給付金です。この記事で主に取り上げるのは、この種類です – 遺族年金生活者支援給付金:遺族年金(亡くなった方のご家族が受け取る年金)を受け取っている方のための給付金です 支給のタイミングについては、偶数月に、年金とは別に振り込まれます。「偶数月」とは、2月・4月・6月・8月・10月・12月のように、数字が偶数の月のことです。年金と一緒の振り込みではなく、別に振り込まれるため、通帳を確認するときは年金とは別の入金として入っている、というイメージです。また、この給付金の金額は固定されたままではなく、物価の変動に合わせて、毎年度見直されています。物価が上がれば暮らしにかかるお金も増えるため、それに合わせて給付金の金額も調整される仕組みです。2026年度は、その見直しによって3.2%の増額となりました。[[AD-01]] ## 2026年度の新しい基準額 2026年度の給付基準額(月額)は、次のとおりです。- 老齢年金生活者支援給付金:5,620円 – 障害年金生活者支援給付金:1級 7,025円/2級 5,620円 – 遺族年金生活者支援給付金:5,620円(子が2人以上の場合は人数で按分) ここで出てくる「給付基準額」という言葉は、「支給額を決めるための基準となる金額」という意味です。あとで詳しく説明しますが、この金額がそのまま全員に支給されると決まっているわけではありません。まずは「目安となる金額」として読み取るのがポイントです。障害の場合で見ると、1級の基準額は月7,025円、2級は月5,620円です。障害の1級は、前年度から212円の増額となりました。「212円」と聞くと小さく感じるかもしれませんが、これは1カ月分の増額です。1年間で考えると、212円×12カ月で2,544円分の増額になります。少しずつでも、毎月受け取るお金が増えるのは、日常の暮らしにとっては助けになるはずです。遺族の給付金については、「子が2人以上の場合は人数で按分」とされています。「按分(あんぶん)」とは、決められた金額を人数で分け合う、という意味です。つまり、子が2人以上いる場合は、基準額の5,620円を人数に応じて分けて支給する扱いになる、ということです。 ## 「基準額」と「実際に受け取る金額」はどう違うのですか 記事や案内で見かける金額は「基準額」であり、実際の支給額は、保険料を納めた期間などによって変わる場合があります。ここでいう「保険料を納めた期間」とは、年金制度に加入して保険料を納めてきた期間の長さのことです。年金は、保険料を納めた記録をもとに金額が決まる仕組みになっています。この給付金についても同じように、その方の納付の記録などが支給額に影響する場合がある、ということです。ですので、「基準額が月7,025円だから、自分も必ず7,025円もらえるはず」と思い込むのは早計です。あくまで基準となる金額であり、自分の場合はいくらになるのかは、個別の状況によって異なります。正確な金額を知りたい場合は、このあと紹介する年金事務所などの窓口で確認するのが確実です。反対に、「どうせ基準額より少なくなるなら関係ない」と決めつける必要もありません。大切なのは、まず自分が対象に当てはまるかどうかを確認することです。対象であるのに請求をしていないと、金額の多い少ない以前に、そもそも支給が始まりません。 ## 対象になる人(障害の場合) ここからは、この記事の中心である障害年金生活者支援給付金について、対象になる条件を詳しく見ていきます。対象は、次の両方を満たす方です。- 障害基礎年金を受け取っている – 前年の所得が4,918,000円以下(扶養親族等の数に応じて増額されます) 条件は2つとも満たす必要があります。どちらか片方だけでは対象になりません。1つずつ、やさしく説明します。1つ目の「障害基礎年金を受け取っている」についてです。障害基礎年金とは、病気やけがによって生活や仕事に制限を受ける状態になった場合に受け取れる年金のうち、基礎年金と呼ばれる部分のことです。障害の状態に応じて1級と2級があり、より重い状態が1級です。すでに障害基礎年金を受け取っている方は、この1つ目の条件は満たしていることになります。2つ目の「前年の所得が4,918,000円以下」についてです。「所得」とは、収入から必要経費などを差し引いた金額のことで、税金などの計算の基礎になる数字です。「前年」とは、判定の対象になる年の1つ前の年のことです。働いて得た収入などをもとに計算された前年の所得が、4,918,000円以下であれば、この条件を満たします。「扶養親族等の数に応じて増額されます」とは、扶養している家族などがいる場合、その人数に応じて、この所得の基準が引き上げられる、という意味です。「扶養親族」とは、生計を共にしていて、主にその方の収入で暮らしている家族などのことです。扶養する家族が多いほど生活費の負担も大きくなるため、基準が緩やかになる仕組みだと考えると分かりやすいでしょう。そして、もう1つ大切なポイントがあります。障害年金などの非課税収入は、この所得の判定には含まれません。「非課税収入」とは、税金がかからない収入のことです。障害年金は非課税の扱いであるため、「障害年金を受け取っている分、所得が多くなって対象から外れるのでは」と心配する必要はありません。年金を受け取っていること自体が、所得の判定で不利になることはない、ということです。[[AD-02]] ## 自分が対象かどうか、順番にチェックしてみましょう ここまでの内容を、確認の手順として整理します。上から順番にチェックしてみてください。まず、障害基礎年金を受け取っているかを確認します。受け取っている場合は次に進みます。受け取っていない場合は、この給付金の対象にはなりません。次に、前年の所得が4,918,000円以下かを確認します。扶養親族等がいる場合は基準が増額されるため、単純にこの金額だけでは判断しきれないこともあります。「少し超えているかもしれない」「扶養家族がいるので基準が分からない」という場合は、自分だけで判断せず、窓口で確認するのがおすすめです。最後に、請求の手続きをしたことがあるかを確認します。過去に請求をしてすでに支給が始まっている方は、そのまま受け取りが続きます。一方、「対象かもしれないが、請求をした記憶がない」という方は、次の手続きの説明をよく読んでください。この給付金は、請求をしなければ支給されません。所得の金額が手元ですぐに分からない方もいると思います。その場合でも、「障害基礎年金を受け取っていて、請求をしたことがない」という2点に心当たりがあれば、まず相談してみる価値は十分にあります。対象かどうかを最終的に判断するのは窓口ですので、迷ったら確認する、という姿勢で大丈夫です。 ## ケース別に見る、こんな方は特に確認を 具体的なケースに当てはめて考えると、自分が対象かどうかイメージしやすくなります。次のような方は、特にもらい忘れがないか確認してみてください。ケース1は、障害基礎年金1級を受け取っている方です。2026年度の基準額は月7,025円で、前年度から増額されています。すでに給付金を受け取っている方は増額後の金額になっているか、まだ請求をしていない方は対象になっていないか、それぞれ確認するきっかけにしてください。ケース2は、障害基礎年金2級を受け取っている方です。基準額は月5,620円です。「2級だから金額が少ないのでは」と思うかもしれませんが、対象であるかどうかと、金額の大小は別の話です。請求をしていなければ支給は始まりませんので、未請求の方は確認をおすすめします。ケース3は、最近になって障害基礎年金を受け取り始めた方です。年金を受け取り始めたばかりの頃は、いろいろな手続きが重なって、この給付金の請求まで手が回らないこともあります。新たに対象になった方には、日本年金機構から請求手続きの案内が送られることがありますので、郵便物を見落としていないか確認してみてください。ケース4は、扶養家族がいる方です。所得の基準は扶養親族等の数に応じて増額されるため、「自分の所得は基準を超えているかもしれない」と思っていても、実際には対象になる場合があります。自己判断で諦めてしまわず、窓口で基準を確認してみてください。 ## 受給には「請求」が必要です この給付金でいちばん注意してほしいのが、ここです。この給付金は、要件を満たしていても、自動では支給されません。請求書を提出していないと受け取れないため、「もらい忘れ」が起きやすい制度です。「対象なのに、なぜ自動でもらえないのですか」と感じる方もいるでしょう。この制度では、受給するために本人が請求の手続きを行うことが必要とされています。条件を満たしているかどうかは人それぞれの状況によって決まるため、まずは請求をしてもらい、その内容を確認したうえで支給が決まる、という流れです。逆に言えば、請求さえすれば確認をしてもらえるので、「知らなかったから損をした」という事態を避けるためにも、手続きを知っておくことが大切です。手続きの流れは、次のようなイメージです。まず、新たに対象になった方には、日本年金機構から請求手続きの案内(はがき型の請求書)が送られることがあります。自宅に届く郵便物の中に、この案内が含まれていないか確認してください。届いたら、案内に沿って記入して返送しましょう。これが基本的な手続きの流れです。次に、案内が届かない場合でも、あきらめる必要はありません。年金事務所に相談すれば手続きできます。「案内が来ていないから対象ではない」とは限りませんので、心当たりがある方は年金事務所に問い合わせてみてください。記入の仕方が分からない、自分の所得が基準に当てはまるか分からない、といった場合も、無理に一人で判断しなくて大丈夫です。年金事務所の窓口や「ねんきんダイヤル」で確認しながら進めることができます。不明な点をそのままにして提出するよりも、確認してから手続きするほうが安心です。なお、請求の手続きは一度行えば、その後の支給が始まります。毎月や毎年、同じ請求を繰り返す必要がある制度ではありません。だからこそ、まだ請求をしていない方は、一度手続きを済ませてしまうことが大切です。[[AD-03]] ## よくある質問にお答えします 最後に、よく抱かれやすい疑問を Q&A 形式で整理します。Q.条件を満たしていれば、自動で振り込まれますか。A.いいえ、自動では支給されません。受給には請求の手続きが必要です。請求書を提出していないと受け取れないため、対象かもしれないと思ったら、まず請求の状況を確認してください。Q.障害年金を受け取っていると、その分が所得に数えられて対象から外れませんか。A.障害年金などの非課税収入は、所得の判定には含まれません。障害基礎年金を受け取っていることは、1つ目の対象条件でもあります。年金を受け取っていること自体が不利になることはありません。Q.基準額の金額が、そのまま全額もらえますか。A.基準額はあくまで基準となる金額です。実際の支給額は、保険料を納めた期間などによって変わる場合があります。自分の場合の金額は、窓口で確認するのが確実です。Q.日本年金機構からの案内が届きません。手続きできませんか。A.案内が届かない場合でも、年金事務所に相談すれば手続きできます。案内の有無だけで対象かどうかは決まりませんので、心当たりがある方は問い合わせてみてください。Q.いつ、どのように振り込まれますか。A.偶数月に、年金とは別に振り込まれます。年金の入金とは別に入金される形ですので、通帳では年金とは別の入金として確認することになります。Q.扶養家族がいる場合、所得の基準はどうなりますか。A.前年の所得の基準である4,918,000円は、扶養親族等の数に応じて増額されます。家族を扶養している方は、基準が引き上げられたうえで判定されるため、窓口で自分の場合の基準を確認してみてください。 ## もらい忘れを防ぐためのポイント ここまでの内容から、もらい忘れを防ぐポイントを3つにまとめます。1つ目は、郵便物を確認することです。新たに対象になった方には、日本年金機構から、はがき型の請求書を含む案内が送られることがあります。年金に関する郵便物は大切な手続きの案内であることが多いため、届いたら中身を確認する習慣をつけましょう。2つ目は、自己判断で諦めないことです。所得の基準や扶養親族等に応じた増額など、自分だけでは判断がつきにくい部分があります。「たぶん対象ではないだろう」と決めつけず、年金事務所や「ねんきんダイヤル」で確認することが、もらい忘れを防ぐ近道です。3つ目は、早めに確認することです。この給付金は、暮らしを支えるための制度です。対象であるのに請求が遅れると、その間は支給を受けられません。心当たりがある方は、後回しにせず、できるだけ早めに確認と手続きを進めてください。 ## まとめ 2026年度の年金生活者支援給付金は3.2%増額され、障害1級の基準額は月7,025円、2級は月5,620円になりました。対象になるのは、障害基礎年金を受け取っていて、前年の所得が4,918,000円以下(扶養親族等の数に応じて増額)の方です。障害年金などの非課税収入は所得の判定に含まれません。そして何より大切なのは、この給付金は請求しなければ支給されない、という点です。心当たりのある方は、日本年金機構からの案内が届いていないかを確認し、届いていない場合でも年金事務所や「ねんきんダイヤル」で相談してみてください。確認するだけでも、もらい忘れを防ぐ第一歩になります。 ## 出典 https://www.mhlw.go.jp/nenkinkyuufukin/system.html
2026年度 年金生活者支援給付金が増額|障害1級は月7,025円、請求忘れに注意
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