【知らないと損】救急車を呼んで7,700円!? 「選定療養費」の裏側と“無料”で済ませる方法【2025年最新版】

🧠 制度の使い方(申請・相談など)

はじめに:なぜ今「軽症でも7,700円」が話題なのか

もしあなたが、突然の体調不良や怪我で「救急車を呼ぶべきか?」と迷ったことがあるなら、この話はきっと役立ちます。なぜなら、これまでの「救急車は無料」という常識が、今まさに変わりつつあるからです。

昨年2024年6月、三重県松阪市内の3つの基幹病院が、ある画期的な新ルールを導入しました。それは、「救急車で搬送されたものの、入院に至らなかった軽症患者から一律7,700円を徴収する」というものです。この制度は「選定療養費」という、もともと大病院への“かぜ受診”を防ぐための仕組みを、救急搬送にも初めて本格的に適用したものでした。

導入からわずか1ヶ月で、市の救急出動件数は前年同月比で約22%も減少し、3ヶ月後には23.2%減という驚きの数字が公表されました。これを聞いて、「これで本当に必要な患者さんが救急車を呼べるようになる!」と期待する声が上がる一方で、「救急車を呼ぶのが怖くなる」「お金がない人はどうすればいいの?」といった不安の声も広がっています。

私も、持病の特発性拡張型心筋症で国立病院に通院しており、急な体調変化にはいつも不安がつきまといます。もし、いざという時に救急車を呼ぶことを躊躇して、命に関わる事態になったらどうしよう、と考えることもあります。だからこそ、この制度について正確に理解し、正しい知識を身につけることが、私たち自身の身を守るために不可欠だと感じています。

この記事では、元医療・福祉専門家の視点から、この制度の歴史から最新の運用状況、そして私たち市民が「7,700円を払わずに済む」ための賢い救急利用術まで、徹底的に解説していきます。

「このブログでは、まず制度そのものの歴史と目的を整理し、松阪モデルの仕組みや効果、そして私たち市民が取るべき“賢い救急利用”まで、順を追って解説していきます。」👉資産運用の相談なら【オンアド】

第1章:「選定療養費」とは何か ― その目的と歴史

1-1 制度誕生の背景:大病院の混雑を緩和せよ!

「選定療養費」と聞いてもピンと来ない方が多いかもしれませんね。この制度のルーツは1980年代にさかのぼります。当時、国立大学病院のような大病院には、ちょっとした風邪や擦り傷でも多くの患者さんが押し寄せ、外来の待ち時間は半日以上にも及んでいました。これでは本当に重い病気の患者さんの診察が遅れてしまう。そこで国が導入したのが「特定療養費制度」です。

この制度は、紹介状なしに大病院を受診する場合などに、通常の医療費に加えて「特別の料金」を徴収することを認めるものでした。目的は、大病院と地域の診療所が役割を分担し、医療資源を効率的に使うこと。つまり、軽い症状なら地域の診療所で診てもらい、専門的な治療が必要な場合は紹介状を持参して大病院に行く、という流れをつくる狙いがあったのです。

1-2 「選定療養費」という名前の誕生と進化

この制度は、2006年の法改正で「選定療養」として整理され、現在に至ります。選定療養とは、保険診療と自己負担による追加料金を組み合わせて利用できる医療サービスの総称で、差額ベッド代や、今回話題になっている紹介状なしの大病院受診時の追加負担などがこれにあたります。

そして、この追加料金こそが「選定療養費」と呼ばれるものです。

  • 1996年:特定機能病院や500床以上の病院で徴収開始(目安3,000円)
  • 2016年:200床以上の病院に対象を拡大、初診時5,000円、再診時2,500円に最低額を制度化
  • 2022年:初診時7,000円、再診時3,000円に最低額を引き上げ
  • 2024年:料金は据え置きつつ、対象病院を「紹介受診重点医療機関」に整理

この表を見て分かるように、選定療養費は少しずつ値上がりし、対象となる病院も拡大してきました。そして、2024年、松阪市がこの仕組みを「救急搬送」に転用したことで、大きな注目を集めることになったのです。


第2章:松阪市モデルの衝撃 ― 7,700円徴収スキームの全貌

2-1 制度の骨格:松阪市の「選定療養費」

松阪市が2024年6月から導入したこの制度は、選定療養費の枠組みを救急搬送に応用した全国初の試みでした。

  • 開始日:2024年6月1日
  • 対象病院:松阪市内の3つの基幹病院
  • 徴収額:7,700円(税込)
  • 法的根拠:地方自治体が地域医療に資する追加負担を条例で定めることができるという国の通知

この制度の根幹にあるのは、「救急車は、本当に命に関わる重症患者さんのためのもの」という考え方です。

2-2 誰が支払う? ― 徴収対象と免除条件

では、どんな人が7,700円を支払うことになるのでしょうか?

徴収されるのは、「救急車で3つの病院に運ばれ、医師が“軽症”と判断して入院も手術も不要とされた患者さん」です。

ただし、次のようなケースでは徴収が免除されます。

  • 入院が必要と判断された場合
  • 主治医からの紹介状を持参した場合
  • 乳幼児医療や生活保護などの公費負担医療の対象である場合
  • 災害、労災、交通事故による傷病の場合
  • 医師が救急医療上の必要性を特に認めた場合

たとえば、私が特発性拡張型心筋症で救急搬送された場合、医師が「入院の必要あり」と判断すれば、選定療養費は発生しません。しかし、もし「大事をとって搬送されたが、経過観察のみで帰宅」となれば、徴収される可能性が出てくるわけです。

2-3 3ヶ月運用で見えた効果と課題

松阪市が公開したデータは、この制度が単なる「お金を取るための仕組み」ではないことを示しています。

  • 救急出動件数:23.2%減少
  • 軽症搬送の割合:59.4%→52.9%に減少
  • 休日・夜間応急診療所の受診件数:68.2%増加
  • 救急相談ダイヤル(#7119)の利用件数:42.8%増加

この数字から読み取れるのは、7,700円という費用負担そのものよりも、「救急車を呼んだらお金がかかるかもしれない」という心理的なブレーキが、多くの市民の行動を変えたということです。その結果、本当に重い症状の患者さんに救急車が行きやすくなり、また多くの人が救急車を呼ぶ前に電話相談や地域の一次医療機関を利用するようになりました。


第3章:他自治体はどう動いている?国のスタンスは?

3-1 茨城県「全県モデル」の挑戦

松阪市の成功を受け、次に大きな一歩を踏み出したのが茨城県です。2024年12月、県内の22病院でこの制度を一斉に導入しました。開始から半年間の検証結果では、重症化の見落としやクレームといった重大なトラブルは発生せず、救急電話相談の利用件数は約1.4倍に増加しました。茨城県は「重症患者の受け入れ余力が確保できた」として、この制度の継続を表明しています。

3-2 現場の医師の声:7割以上が「徴収に賛成」

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が行ったアンケートでは、開業医の73%、勤務医の78%が「軽症救急に選定療養費を課すことに賛成」と回答しました。これは、日々救急現場の逼迫に直面している医師たちの切実な声だと言えるでしょう。

3-3 国の慎重なスタンス

一方で、厚生労働省の武見大臣は、松阪市の取り組みについて「国が定める選定療養の枠組みとは想定していない」と述べ、全国展開には慎重な姿勢を示しています。現時点では国主導の全国統一ルールは未定ですが、今後、松阪市や茨城県のデータをもとに、2026年度の診療報酬改定で新たなルールが議論される可能性は十分にあります。


第4章:どんなときに7,700円が発生する? 具体的なケースを徹底解説

いざという時に困らないために、具体的なケースで7,700円を払うことになるか、ならないかを見ていきましょう。

4-1 徴収されるケース

  • 夜間に38℃台の発熱と頭痛があり、救急車で搬送されたが、検査でインフルエンザは陰性、解熱剤を処方されて帰宅。
  • 休日の草野球で足首を捻挫し、救急車で搬送。X線検査で骨折はなく、湿布と痛み止めを処方されて帰宅。

どちらのケースも、医師が「入院の必要がない軽症」と判断し、紹介状や公費負担などの免除条件に該当しないため、7,700円が徴収される可能性があります。

4-2 徴収されないケース

  • 高齢者が転倒し、大腿骨骨折が疑われて救急搬送。病院で即日入院・手術が決定した場合。
  • 交通事故に遭い、むち打ちの症状で救急搬送された場合(交通事故による傷病は対象外のため)。
  • 生活保護受給者が救急搬送された場合(公費負担医療の対象のため)。

4-3 【実録】私が福祉専門家として考える「徴収される・されない」のボーダーライン

私自身、福祉の現場で働いてきた経験から、特に高齢者や障害をお持ちの方、母子家庭の方など、生活に不安を抱える方が「お金がかかるなら…」と救急車の利用をためらってしまうのではないか、という懸念を持っています。

もし、生活保護受給者である私が、持病の心筋症で救急搬送されても、選定療養費は免除されます。しかし、生活保護を受給する前だったらどうでしょうか。もし「ちょっと胸が苦しいけど、これで救急車を呼んで7,700円取られたら…」と躊躇していたかもしれません。

この制度は、私たちの命を救うための医療資源を守るためのものですが、同時に、社会的弱者が医療から遠ざけられるリスクもはらんでいます。だからこそ、国や自治体は、免除条件を明確にし、市民への周知を徹底することが求められます。

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第5章:賢く救急車を利用するための5つの心得

5-1 スマホに登録!「#7119」と「#8000」

突然の体調不良でどうすればいいか迷ったら、まず頼るべきはこれです。「救急車を呼ぶか迷ったら…」のCMでご存知の方もいるかもしれませんが、#7119(救急安心センター事業)と#8000(小児救急電話相談)は、私たち市民の強い味方です。

  • #7119:医師や看護師が、今すぐ救急車を呼ぶべきか、自力で受診すべきか、自宅で様子を見るべきかをアドバイスしてくれます。
  • #8000:お子さんの急な病気や怪我で迷った時に、小児科医や看護師が電話で相談に乗ってくれます。

松阪市や茨城県のデータでも、この相談窓口の利用が増えたことが、軽症搬送の減少につながったことが明らかになっています。

5-2 家庭で備える「セルフレスキュー」セット

いざという時のために、家庭に常備薬や計測機器を用意しておくことも大切です。

  • 常備薬:解熱鎮痛剤、整腸剤、経口補水液など
  • 計測機器:体温計、パルスオキシメーター(血中酸素濃度を測る機器)
  • 情報:お薬手帳のコピー、かかりつけ医の連絡先、アレルギーや既往歴をメモしたもの

体温や脈拍、SpO2といったバイタルサインを測って#7119に伝えれば、より的確なアドバイスをもらうことができます。

5-3 「かかりつけ医」という最強の味方

日頃からかかりつけ医を持つことも、賢い救急利用につながります。もし急な体調不良で救急車を呼ぶことになっても、かかりつけ医からの紹介状があれば、選定療養費は免除されるからです。また、日頃から自分の健康状態を把握してくれている医師がいることは、何よりも心強いものです。

5-4 家族で「救急のしきい値」を共有

家族内で「こんな症状が出たら迷わず救急車を呼ぶ」というルールを決めておくのも良い方法です。

  • 胸が締め付けられるような激しい痛み
  • 意識がもうろうとしている
  • 顔の片側がゆがんでいる
  • ろれつが回らない

このような症状は、脳卒中や心筋梗塞など、一刻を争う病気の可能性があります。家族みんなでルールを共有しておけば、いざという時にパニックにならず、迅速な行動をとることができます。

5-5 救急車=最後の選択肢という認識

救急車は、私たちの生活を支える大切な社会インフラですが、その資源には限りがあります。救急車を呼ぶのは「最後の選択肢」だと認識し、まずは電話相談や地域の一次医療機関を頼ることが、結果的に自分の命と、他の誰かの命を守ることにつながります。

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第6章:まとめ ― 選定療養費は“負担増”か“適正受診”か

6-1 7,700円が私たちに問いかけるもの

松阪市や茨城県で導入された「救急搬送時選定療養費」は、単なる“負担増”の制度ではありません。それは、私たち一人ひとりの医療との向き合い方を問い直す、重要なメッセージだと私は考えています。

この制度は、私たちに次の3つのことを問いかけています。

  1. 命の優先順位を可視化すること「無料だから呼ぶ」という無意識の行動から、「必要だから呼ぶ」という意識的な行動へとシフトすること。
  2. 相談・紹介のハブ機能を活用すること救急車を呼ぶ前に、#7119や#8000、かかりつけ医といった「前室」を必ず通ること。
  3. データに基づき、地域全体で医療を創ること救急搬送のデータや相談件数のデータを市民、医療者、行政が共有し、より良い医療体制をみんなで築いていくこと。

6-2 明日からできる5つのアクション

最後に、この記事を読んでくださったあなたが、今日からできる5つのアクションをまとめます。

  1. スマートフォンに #7119 と #8000 を登録する。
  2. 「Q助」アプリをダウンロードして、使い方を試してみる。
  3. かかりつけ医を決めて、緊急時に備える。
  4. 家族で「救急車を呼ぶべき時」のルールを話し合い、共有する。
  5. 常備薬と体温計、パルスオキシメーターを家庭に備えておく。

この制度の成否は、国のルールや自治体の運用もさることながら、最終的には私たち一人ひとりの行動にかかっています。

「7,700円を払わずに済む」という視点はもちろん大切ですが、それ以上に「救急車を本当に必要とする人のために、私たちに何ができるか」を考えることが、本当の意味で私たちの暮らしを守ることにつながるのです。

私も、体調管理に気をつけながら、この制度の動向を引き続き注視していきたいと思います。そして、この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、賢い選択をするためのヒントになれば、これ以上嬉しいことはありません。

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